今日は発売日なのでタイトルの由来のお話など。
小学校の頃バレー部だった私は「ファイト」という言葉が嫌いでした。
それは単純に「がんばれ」という意味だけで捉えていたからだと
思います。
今でこそ「がんばって」と言われると「ありがとう!」と
素直に思える歳になりましたが、幼い頃にはなかなか受け入れられない
照れ臭い単語だったのでしょう。
時がたって、中学で英語を習い始めると「ファイト」には
戦い、闘争、勝負、試合、闘志などの意味があることを知り、
G戦の初代編集さんに中島みゆきさんの「ファイト!」を聞くと
何故かお前を思い出すと言われ、G戦場ヘヴンズドアの町蔵達が
戦った雑誌の名前は「少年ファイト」と自然につけてしまうほどになり、
その流れでついに一番大事な仕事の名前にまでつけてしまうことに、
作者本人が一番びっくりしています。
当初、この作品は「東京の魔女」という仮名がついていました。
練が通う黒曜谷高校は練馬区にある設定というのもありましたし、
バレーの甲子園である春の高校バレーは東京の代々木体育館で
行われるのでそれでもいいかなあと思ったのですが、
これでは一見、東京以外がなんだかおいてけぼりなタイトルに
なってしまわないか、私自身も香川出身香川大好きっ子なので
悩みました。
「どの地域の方にでも手を伸ばしやすくあって欲しいなあ」
「誰にでもわかる簡単な単語でタイトルが作れないかなあ」
「女の子だって少年漫画のような青春ができるって描きたいなあ」
ーそうだ。自分が前作中に出した「少年ファイト」を
「少女ファイト」にしてみよう。
そんな流れでつけてしまったのですが、
担当のK君は気に入ってくれました。
今でも「ファイト」という単語を好きなのか嫌いなのか、
よくわかりません。
でも絶対に自分がつけそうにない単語をタイトルにもっていったおかげで
そのタイトルはイブニングのひとつの商品である自覚を促し、
なんだかとても楽しく冷静に描いていける気がしたのです。
なんというか、「少女ファイト」は「字(あざな)」で
「東京の魔女」が「諱(いみな)」といったところでしょうか。
作品を描くまでに長い間登場人物達と脳内で語り合ったせいか、
本当の知り合いのように思えてしまって、
誰かにキャラクターの質問をされると
嬉しそうに答えている自分に笑ってしまいます。
そのくらい少女ファイトにはまっている自分は
幸せな仕事をしていると思えます。
これも全て、少女ファイトの制作に関わってくださった方々と
読んでくださる読者様のおかげです。本当にありがとうございます。
いつかサブタイトルに「東京の魔女」が来る日まで続く事を願って、
そっと生きながら「少女ファイト」を描いていきたいです。
というわけで、少女ファイト第1巻、今日発売です!